『伊豆の踊子』を読んだ。
やったーーーーーーーー!褒めて欲しい!褒めて!褒めて!!!!
『伊豆の踊子』と『金色夜叉』と『天城越え』の区別がつきました!
やった!!!めでたい!!!!!!!!!!!!
天城ではラブラブしていた踊り子と学生が
熱海までの道のりはやっぱきつかったのか
喧嘩して蹴飛ばし
殺人事件に発展したやつじゃなかった!!!!!!!!!
あの時〜同じ花を見て♪美しい〜と〜言ったふた〜りの♪こころ〜とこ〜ころが〜♪今は♪もう♪通わない♪じゃなかった!
服が違うのは別作品だからで途中で着替えたからじゃないんだな〜〜
表にしてみたぞ。これでわかりやすくなるだろう!
伊豆の踊子が三つの中で一番あらすじ的にはほのぼのしていると言うことが判明しました。また、松本清張の天城越えは川端康成の伊豆の踊子の対照*1を行っていることで有名だそうです。
あらすじ
20歳の「私」は伊豆旅行中に旅芸人一行の踊子の女の子と出会い、一緒に旅をすることになる。最初は踊子の可愛さにメロメロに惹かれていただけだったものの、次第に旅芸人一行の暖かさに触れていく。踊子との淡い恋にも安らぎを覚えていくが、別れはすぐそこにあって…。
登場人物
私(語り手)…20歳、高等学校生。孤児であり寄宿舎暮らしをしている。暇さえあれば自分に何かしてくれた人に金品をばらまくいびつな愛情表現の持ち主。
踊子(薫ちゃん)…14歳。嬉しいことがあると風呂場から素っ裸で飛び出してきてしまうほどの子供である。かといって「私」はまったくもってロリコンではなく、化粧により17歳くらいと勘違いしてしまったので惚れてしまった。純粋に「私」を好きになり、素直に一緒にいたいと感じている。
男(栄吉)…薫ちゃんの兄。「私」に優しく接する包容力の塊。「私」がお金を渡しても、「こんなことをしてはいけない」と諭す大人である。
千代子…栄吉の妻。流産と早産を繰り返し、体が弱っている。
おふくろ…千代子さんの母。つよい。薫ちゃんの貞操ガードである。薫ちゃんに三味線を教える。
百合子…小池の方ではない。はにかみ屋さん。
少年…一高入学準備のため上京中、隣り合わせた20歳の初対面の号泣していたお兄さんに海苔巻き寿司をあげたところマントに潜り込まれるんだけどどういうことだ、状況を詳しく説明したまえ。
今回から僭越ながらこんなものを作ってみました。
『伊豆の踊子』独断と偏見レーダーチャート
文章は本当に綺麗です。ほんとです。さすが世界のKAWABATA
知性と教養もそこそこ感じます。(この後志賀・芥川を読んだのでちょっと厳しめになってしまいました)
話の筋は奇抜さがなくつまらないと思う人もいるかもしれません。好みが絶対わかれる。
テーマ性もあるよ。
描写の緻密さはさすが世界のKawabata
構成は時系列を追っていて、「みてくださいこのすごい伏線!フラグの香りがするでしょ!?」「ひゃっはーーー!怒涛の伏線回収ダァァ」などというド派手な構成はせず、素直な印象があります。
新海監督!!!!!!!!新海監督!!!!これ映像化して!!!!!!
これ読んでて、「言の葉の庭」の美しすぎる描写をなんど思い出したことか。
誠ならできる!やって!やって!!!!!
伊豆の踊子、ひたすらに美しいです。耽美とかそう言うのではなく、素直に描写や文章が美しいです。ある種絵画的です。新海作品や蟲師のアニメ版のような絵が美しいアニメーション作品でこれをみたいと感じました。
あまりに文と情景描写が美しいので、人が書いたものとはとうてい思えないほどです。
ただ、最後、主人公冷静に考えて変態に見えゲフゲフ
✿人に施しまくる主人公
この「私」、ともかくちょっとよくしてくれた人に金品ばかり渡します。やりすぎじゃねーのってくらい。ちゃんと旅費は残ってるんだろうな。
そこで思い出すのが、主人公が孤児だったということ。
愛された記憶が少ない故に人にものをあげてしまうのではないか?心ではなく、もののつながりで人との絆を作ろうとしているということです。
そんな中、踊子の愛情はとても自然な愛です。お兄ちゃん大好き〜〜〜〜〜〜!感が漂っています。踊子の年齢からして、淡い初恋だったのかもしれません。そのラブ光線をガンガン受ける主人公。主人公も踊子にはお金をあげません。
心からの愛情というものが主人公の心に沁みていく感じがあります。
✿少 年 \(^o^)/
皆さんはご存知だろうか…川端康成が美少年をこよなく愛する男だと言うことを…。
自分の同性愛体験を下に「少年」、そして「伊豆の踊子」の母胎となった「湯ヶ島の思ひ出」を書いた男だと言うことをッ…!!!!!そのせいか。そのせいなのか????
踊子の薫ちゃんとの爽やかで悲しい別れで最後〆ればよかったものを、なぜ少年が最後出てきて、「私」は号泣しながら海苔巻き寿司を食って少年のマントに潜るという
「……は?????」
という今までのいとしさが一見台無しになるようなシーンが出てきます。…浮気です。これは完全な浮気です!!!ものの2ページも経たない間に浮気しやがりましたよこの男!!!なんだこれ!!!!よかったな薫ちゃん!こんな男と別れてな!!!!
私のような腐女子は「こっから物語が始まるんだよ!!!!!」という感じですが、川端御大は残酷なことにズバッ!!!とそこで話を終わらせてしまいます。なんでや川端。題名が「伊豆の踊子」だから仕方ないんだけどさ。
思うに、何もしなくても、泣いているだけで、人は親切に海苔巻き寿司をくれる…この少年も、自然に「私」に愛情を注いでくれたという存在です。思ったより、人は自分に冷たくない、人は自分が思っているよりはるかに優しい、ということを薫ちゃんとともに表す存在が少年だったのではないかと思います。
✿は、ハートフルな作品なんじゃないか…???
私は川端先生のように孤児になったことがないので、真のところはよくわかりません。ただ、なんとなくですが、踊子の薫ちゃんは貧しい旅芸人として、差別されて、社会から疎外されてる存在であり、「私」も孤児として社会から疎外感を感じているということはわかります。
つまり、傷ついて震えている存在が肩を寄せ合うことで、世界の暖かさを認識するというのが、この作品から感じられました。最初全然感じなかったんだけど、読めば読むほど、すさまじく癒し系かつハートフルな作品なんじゃないか…??
✿言葉メモ
道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨足が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。
比喩が大好きな新感覚派の特徴を存分に散りばめた文ですね…それにしても澄んだ綺麗な文章だな〜
暗いトンネルに入ると、冷たい雫がぽたぽたと落ちていた。
川端先生、トンネル大好きですね
私は心に清水を感じ、ほうっと深い息を吐いてから、ことこと笑った。子供なんだ。
澄んだ文章だなあ。ことことってなんだ。あのことことか。「くくくくっ」て感じなのかな?
頭が澄んだ水になってしまっていて、それがぽろぽろ零れ、そのあとには何も残らないような甘い快さだった。
この文章が澄んでいてとても綺麗だと思いませんか!思いませんか!(੭ु´͈ ᐜ `͈)੭ु⁾⁾
さーて、次は。川端先生に慕われていただけでなく、自分の育てた朝顔やパンをくれるどころか、「川端は正しい文章を書くと思います。」と職まで斡旋してくれるほど川端先生を可愛がっていた志賀直哉*2の『和解』を読もうとおもいます。